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牝獣の哭く夜
第11章 夜景レストラン


 あの夜、自宅のマンションに帰るとすぐにシャワーを浴びた。
 身体に染みついた男の臭い、肌に絡みついた玩弄の感触を洗い流そうと、全身を何度も洗った。

 だが、皮膚が赤剥けるほどブラシでこすっても、忌まわしい記憶はなくならない。

 思いっきり泣き崩れれば、まだ少しは癒されたのかもしれない。
 けれど気丈な美貴の心は、男に犯されて一人泣くことを自分に許さなかった。
 屈辱は胸の奥に黒く燻り続けた。

 その場で東亜設計の資料やビデオデータは回収したものの、複製がある可能性は否定できない。
 なによりソレムニティとつき合いの長い片桐専務と、美貴の部下である沼田が口裏を合わせれば、具体的な証拠に乏しくとも、諏訪部長が信じる可能性は充分にある。

 信じないまでも、疑惑は残るだろう。

 その前に、ソレムニティとの関係を確固たるものにしておく必要がある。
 それでもまだ二人が不埒な接触をしてくるようなら、今度こそ脅迫とレイプで警察に突き出してやる。

 そう決心し、ようやくベッドについた。

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