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牝獣の哭く夜
第2章 祝賀会の夜
美容業界の店舗設計には強かった美貴だが、今回の設計には今ひとつ納得できないものを感じていた。
そつなくまとまってはいるが、既成のエステサロンの概念の延長にすぎないデザイン。
それを打ち破る設計プランを思いついたのが、プレゼンテーションの一週間前だった。
それから、デザイン設計二課のメンバーが一丸となって、作業を一からやり直し、ぎりぎりでプレゼン日に間に合わせることが出来たのだ。
「ここ一週間、毎日泊まり込み覚悟で頑張ってくれて、ほんとに感謝している。その努力の甲斐があって、ウチの企画にほぼ内定。みんな、今日は思いっきり飲んでちょうだい」
「もちろん飲ませていただきまーす」
沼田峻一がおどけて言って、ジョッキを傾け生ビールを飲み干した。
豚なみに肥満した腹部でワイシャツのボタンがはじき飛びそうだ。
その隣に座る八木原和馬も細面の顔に笑顔を浮かべ、ジョッキを上げて美貴に祝福を示した。