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第2章 祝賀会の夜

　沼田は上司の顔を奇妙な目つきで見つめていた。

　が、すぐに歯を剥いて笑い、

「沢村さん。もしかして、俺が真面目に働かないって思っていませんでした？」

「え？」

　美貴は笑顔のまま、首をかしげた。

「俺だって、やるときはやりますって。さっきの山崎の言葉じゃないが、たしかに今回の沢村さんの設計は、画期的でした。これなら、間違いなく設計コンペで勝ち抜けるのがわかったからね。やりがいがあったよ」

　これまでの、なにかというと不平ばかり言う沼田の言葉とも思えなかった。

「ありがとう。うれしいわ」

　美貴は心が温まるのを感じ、本心から言った。

「これからもよろしくお願いしますね」

　苦手だった年上の部下だが、少し色眼鏡で見ていたのかもしれない。大きな仕事の成功と共に、なにもかもうまく行きそうな気がする。