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牝獣の哭く夜
第15章 もうひとつの未来
「口上は、立って言ってもらおうか」

 沼田の両手が美貴の肩を掴んで、無理やり立ち上がらせた。

 美貴は後ろ手に拘束されたスリムな裸身を、諏訪の前に立たせた。
 黒いストッキングに包まれた美脚は、股間を少しでも隠そうと、やや内股になる。

 脚を閉じると、内腿に垂れた淫液がぬるぬると気持ち悪い。
それでも、早く剛毅な肉を埋めてもらいたくて、脚をすり合わさずにはいられない。

 なかなか口を開かないでもじもじとする美貴に、沼田がいらついた声を出した。

「早くしないと、諏訪部長が待ちかねてるぞ」

「す、諏訪部長……」

 美貴が震え声を出すと、沼田が、

「諏訪部長じゃあ、色っぽくないな。
 名前で呼んで、甘えてみろ」

「……た、龍彦さん……」

 これまで、心の中では何度も呼んだ名を、はじめて口にした。
 胸が切なく疼いた。
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