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牝獣の哭く夜
第2章 祝賀会の夜
「そういえば、ホテル・ソレムニティの諏訪部長、絶対アレですよね」
朱里がそう言って、意味ありげに隆介と目配せをしたのは、もうみんなすっかり酔いがまわったころだった。
隆介もうなずいて、
「そうそう。間違いないよな」
「なあに、アレって。諏訪部長がどうかしたの?」
美貴が隆介と朱里に不思議そうな顔を向けると、二人は何がおかしいのか、大きな声で笑い合った。
「沢村課長、気がついていないんですか?」
「だから、なんなのよ。もったいぶってないで、教えてちょうだい」
「諏訪部長は沢村課長に絶対、気がありますよ」
「え?」
あまりに唐突な朱里の言葉に、美貴は頬が火照るのを感じた。
「あれ、課長、赤くなってません?」
八木原までが美貴をからかう。
「もう、八木原くんまで、ヘンなこと言わないでちょうだい。ワインのせいよ。みんなの顔だって赤いわよ」