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牝獣の哭く夜
第16章 あかされた奸計
頭には薄いピンクの靄《もや》がかかっている。
焦点を結ばない眼で、諏訪を椅子に固定していた戒めを沼田が解いてゆくのを、諏訪の肩越しにぼんやりと眺めていた。
「苦しげな表情は真に迫ってたな。
この女、本気でおまえを助ける気でいたぞ」
沼田が言うと、両手が自由になった諏訪は、口を塞いでいたガムテープを剥がして、
「いや、沼田の演技もなかなかのものだった。
こういういやらしい役はぴったりだな」
手首の拘束の跡を撫でながら、諏訪はにやにやと笑う。
沼田も分厚い唇を歪め、美貴の方を顎でしゃくった。
「女課長さまは、まだ状況を理解していないご様子だぜ」
美貴は呆けたような眼で、二人の男に視線をさまよわす。