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牝獣の哭く夜
第16章 あかされた奸計
「才能があるといったのは嘘じゃない。

 今回のコンペも、おまえが実力で勝ち取った。それは誇っていいぞ。
 あのデザインには感心したよ。ひさしぶりに胸が熱くなった」

「だったら、どうして……」

「だからこそさ。
 おまえの才能が僕の心を刺激したんだ。
 見栄えがいいだけの女、頭がからっぽの美人をいくら抱いても、なんの面白味もないからな。
 才能ある美しい女をいたぶるからこそ、愉しめるんだ。
 鼻っ柱の強い有能な美女を無理やり素っ裸にひん剥いて、ひいひい喘がすから昂奮するんだ」

 諏訪の荒々しい息が頬にかかる。
 こんな場合なのに、その息は男っぽい野性味と爽やかな清涼感を兼ね備え、女ごころを蕩かす魅力にあふれていた。

 顔を反らそうとしても、万力のような指先で顎を押さえられているため、動かすことができない。
 美貴はおぞましさに慄きつつ、諏訪の顔を見つめるしかなかった。

「その意味でなら、沢村美貴は最高級の女だよ。
 それこそ、僕が保証する」

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