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牝獣の哭く夜
第17章 春深く
 結合部をよく見ようと、怒張を握り締めたまま、沼田は前かがみになる。

 諏訪の股の間から、美人上司の尻と淫裂があからさまに覗いた。

 凌辱者の剛直は、見事な長さと太さを誇っていた。
 嫉妬する気も起きない桁違いの雄根が、愛する女性の媚穴に悠然と出入りしている。
 ぬちゃぬちゃと音を立てて肉ひだがよじれ、どろりと粘っこそうな汁液が、尻の穴まで垂れ落ちる。

 口では嫌だと言っても、美貴の淫花は開き切っていた。
 濡れ光る粘膜の複雑な陰影こそが神秘だった。

 九堂夜想の句が脳裏をかすめる。

  春深く剖《ひら》かるるさえアラベスク

 顔を近づけなくても、肉華から立ち上る独特の芳香が嗅ぎ取れた。

 発情した牝の匂い。
 のたうつ裸体から発する汗と体液が混じり合って、百合の香にも似た蠱惑のパフュームが部屋に漂う。

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