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牝獣の哭く夜
第21章 全裸の早朝散歩
 ――どうしてこんなことになったのか。

 身も心も犯された夜から二週間。

 ソレムニティ・グループの美容サロン計画は着実に進捗していた。

 ホテル側の責任者である諏訪部長と、店舗デザイン設計者である美貴は、毎日のように顔を合わせる。
 工程調整から、美容師の意向も反映した内装の確認、照明器具や備品の決定、細部の仕様の変更など、打合せが必要なことは山のようにあった。

 しかし、その席上で、諏訪は意味ありげにこちらを見ることはあっても、指先一本、触れてこようとはしなかった。
 昼食にも夕食にも誘われなかった。

 人知れず無毛の股間を火照らせ、愛撫を待ち焦がれてショーツに染みを造っているのを知りながら、ただ魅力的な瞳で見つめるだけだった。
 打合せが終わった後、すがるような目つきの美貴を無視して、諏訪は次の仕事への去ってゆく。

 蛇の生殺しだった。

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