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牝獣の哭く夜
第21章 全裸の早朝散歩
(お願い。目を覚まさないで)

 祈るような気持ちで歩を進めた。
 ハイヒールが踏む落ち葉のかすかな音まで、気が気ではなかった。

「ううん……」

 男が唸って、寝返りをうった。

(ひっ……)

 あわてて植込みの陰に隠れる。
 心臓が早鐘を打つ。
 ほとんど四つん這いの格好で植え込みの陰を進み、なんとかその場を離れた。

 緊迫感で息があらかった。
 ぼーっとした頭に、胸の鼓動がドクンドクンと響く。

 指をそっと脚の間に這わせた。

 気味が悪いほど粘ついていた。
 割れ目の先端の肉芽に触れてみる。

(こ、こんなになってるっ)

 指先に感じられた硬さと大きさに、美貴は絶望した。
 ちょっと指を動かしただけで、声が出そうなくらい気持ちいい。

 この場でオナニーを始めたくなる。
 理性をかき集めて自制した。

(な、何を考えてるの……
 はやくしないと大変なことになっちゃう)

 諏訪に置いてきぼりにされてから、まだ十五分はたっていないはずだが、美貴にはそれが永遠にも感じられた。
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