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牝獣の哭く夜
第21章 全裸の早朝散歩
 植込みの向こうは片道二車線の道路だった。

 その先に美貴が勤めるビルが見える。
 数社が入っているオフィスビルで、〈クリエイティヴ・ビュー〉があるのは三階と四階。
 道路を渡って、隣のビルとの間の細道に駆け込めば、あとは建物の中となる。

 道路に車の姿はなかった。思い切って走り出そうとした時、ひとつ手前の交差点からタクシーが現れた。
 公園に沿って近づいてくる。

(はやくっ、はやくいなくなってっ)

 美貴の眼には、タクシーの走りがじれったいほどのろかった。

 やっとタクシーが見えなくなった。

 美貴は生れたままの素っ裸で、オフィス街の道路を駆け抜けた。

 両手で胸を押さえ、真っ白い尻も、翳りを失った股間も丸出しにしたままだった。
 黒いエナメルのヒールが、アスファルトに硬質の音を響かせた。
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