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牝獣の哭く夜
第24章 彼の眼差し 彼女の脚
「あっ、駄目っ、イッちゃう……美貴、イッちゃううっ」
美貴は悲鳴のような泣き声をはなつ。諏訪が腰の動きを速くした。
足指の反り返った下肢が、びくんびくんと上下に跳ね上がった。
その脚に、視線が吸い寄せられる。
よく見ると赤痣や青痣だらけだった。
太腿は美しく滑らかだが、膝から下の部分には切り傷、かすり傷があった。
膝にも脛にも斑模様に、赤や紫や黄や緑の数えきれない痕がついている。
その傷痣の意味を沼田は瞬時に悟った。
それは施工現場に足を運び、自らの設計を最後まで見届けてきた痕《あかし》だった。
狭く暑苦しい現場で、剥き出しの鉄骨や仕上げ前の壁、駄目だしの設備や搬入中の家具を見届けてきた脚《あかし》だった。
職人と業者が入り乱れる中、数限りなく工事中の資材にぶつかり、引っ掻け、こすれてきた痕だ。
理想とする目標に向かって壁とぶつかり、陰口をたたかれながらも妥協をはねつけ、それを乗り越えてきた証だ。
懸命に生きてきた女の脚だった。
一途に生きてきた女の脚だった。
美貴は悲鳴のような泣き声をはなつ。諏訪が腰の動きを速くした。
足指の反り返った下肢が、びくんびくんと上下に跳ね上がった。
その脚に、視線が吸い寄せられる。
よく見ると赤痣や青痣だらけだった。
太腿は美しく滑らかだが、膝から下の部分には切り傷、かすり傷があった。
膝にも脛にも斑模様に、赤や紫や黄や緑の数えきれない痕がついている。
その傷痣の意味を沼田は瞬時に悟った。
それは施工現場に足を運び、自らの設計を最後まで見届けてきた痕《あかし》だった。
狭く暑苦しい現場で、剥き出しの鉄骨や仕上げ前の壁、駄目だしの設備や搬入中の家具を見届けてきた脚《あかし》だった。
職人と業者が入り乱れる中、数限りなく工事中の資材にぶつかり、引っ掻け、こすれてきた痕だ。
理想とする目標に向かって壁とぶつかり、陰口をたたかれながらも妥協をはねつけ、それを乗り越えてきた証だ。
懸命に生きてきた女の脚だった。
一途に生きてきた女の脚だった。