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牝獣の哭く夜
第25章 牝獣の哭く夜
 沼田だけは違った。

 この男の心は、芯から腐り果てていた。
 どこまでも卑劣で下衆な奴だった。

 すごそこにアクメが迫るなか、死に際に見るという走馬灯のように、これまでの沼田の醜い目つきが甦ってきた。

 思えば、この男はいつも美貴を見つめていた。

 最初に会った時の、追従笑いに含まれた下卑た上目使い。
 勝手に図面を変えた時の得意げな流し目。
 叱責された時の恨みがましい細い眼。
 ここ半月、美貴を辱める時の狂喜に歪んだ、しかしどこか哀しげな瞳。

 そして今、絶頂を迎えそうな美貴を凝視する、一途で健気な、情欲に満ちた視線。

 美貴の意識は、沼田の眼に吸い寄せられるように、肉体に収斂した。

 沼田の視線と美貴の視線が絡み合った。
 舌と舌を絡ませるよりも、肉棒と肉唇をこすり合わせるよりも、もっと淫蕩に、ふたつの視線は絡み合う。

 死にたいくらいの恥辱と、痺れるような快感。

 諏訪に陵辱され、昇りつめそうになりながら、美貴の心は沼田に絡めとられていた。
 沼田のものであった。

(いいわ、見せてあげるっ!
 わたしの恥ずかしいイキっぷりを見せてあげるから!)

 諏訪の肉ではなく、沼田の視線が心が淫欲が、何よりも深い悦楽を与えてくれる。

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