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牝獣の哭く夜
第3章 拘束ホテル

「だから、それはできませんって」

「どうして? ふざけてないで、とにかくまず、自由にして」

「しつこいなあ。だって、こうして欲しいって言ったのは沢村さんなんですよ」

「言ってる意味がわからない」

「このホテルに誘ったのは沢村さんなんだぜ。覚えていないの?」

 沼田の口調が微妙にかわる。

 美貴は切れ長の眼を大きく見開いた。

「う、うそッ」

「嘘じゃないですよ。タクシーに乗ったら、今夜はどうしても帰りたくない。俺と朝までいたい。ホテルに連れてって欲しいって、抱きついてきて。そりゃあしつこくからんで、ホント、恥ずかしかったぜ」

「……そんなことを言った覚えはないわ」

「そりゃあ、覚えてないでしょう。とにかくベロベロに酔ってらっしゃいましたからねえ。ホテルに行かないとおさまらない騒ぎで、俺もやむなく、このシティホテルに入ったってわけ」
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