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牝獣の哭く夜
第5章 失禁女上司
 一度は悲痛な決意をした美貴だが、それを尻込みさせているのは、その痛烈な臭いだった。

 腐敗した下水溝のような悪臭が、形の良い縦長の鼻孔に襲いかかる。
 汗と脂と排泄物に、男の妄執を混ぜたような異臭に、吐き気がこみ上げた。

 鼻から息をしないようにつとめて、美貴は腹の脂肪の下の赤黒い肉に、ルージュの剥げかけた唇を近づけていった。
 キスでもするみたいに顔を斜めにしないと、腹の肉にじゃまされてペニスに届かない。

 思い切って、舌先で先端をチロリと舐める。
 ぷにぷにした肉の感触と、火傷しそうな熱さと、酸味のある苦い味を同時に感じた。

(とにかく、早く終わらせることよ)

 固く眼を閉じ、死ぬ思いで舌を伸ばすと、亀頭のカリ裏にそって舐め上げた。

 ビクンと肉棒が反応するのがわかった。
 それが愛する男の反応ならうれしくもあるが、こんな男のと思うと、嫌悪感だけが苦く胸にひろがる。

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