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牝獣の哭く夜
第6章 新たな陵辱者

「苦しいわ、こんな格好――」

 美貴は裸身をくねらせて抗議する。

 ちょっと身動きしただけでつま先が床を離れ、全体重が手首にかかるのだ。
 藍色の革ベルトは柔らかく、肌に傷はつかないが、かなりの痛みは伴う。

 その時、美貴はこの男の狡猾さに気がついた。

(肌に傷をつけないようにしているのは、監禁の証拠を残さないためだわ)

 後で訴えられた時、言い逃れができるように、女の身体に強制的に拘束された証拠が残らないようしているのだ。

 だとすれば、もちろん、対抗策はひとつだった。

(犯されそうになったときは、死に物狂いで暴れてやるから)

 手足や顔に少しぐらい傷をつけられても、ひるまない。
 身体に歴然とした証拠が残るくらい暴れてやる。

(でも……)

 好きでもない男のモノが捻じ込まれる屈辱。
 大事なところに傷がつくおそれ。

 恐怖は拭いがたい。

 それでも、みじめな懇願だけはすまいと自らに誓った。

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