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滲む墨痕
第4章 一日千秋
ショーツの上から指で恥丘をなぞると、わずかに吸気が弾んだ。
『……潤さん』
「はっ、はい」
低い呼びかけに慌てて答えた声は思いのほか湿り気を帯びていて、潤は口をつぐむ。だが藤田は吐息のような笑いを漏らすだけで、会話を続けることはなかった。
妙な沈黙の中、ショーツの中に手を忍ばせる。自身の手の冷たさに、潤は肩を震わせた。柔らかな茂みの奥は熱く滾(たぎ)り、秘裂はすでに蜜を吐き出している。とろみを掬い上げた中指を肉のふくらみに押し込み、隠された蕾を探り出した。
声を押し殺しながら、慣れた手つきで塗りつぶしてゆく。ほとんど開花寸前のそこは、繊細な指の動きにも大げさに反応した。
「ふっ、ん……」
艶声が漏れた。潤は手を止める。油断した――そう後悔したのも束の間、受話口から長いため息のような音が聞こえた。
『潤さん』
その低い声はなにを物語っているのか。顔の見えない状況では不安を煽るだけだ。