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滲む墨痕
第4章 一日千秋
抉られるたびに、体内を鋭利痛が走る。薄い粘膜をこすり剥がされてゆくような強い刺激は、快感をもたらすことなどない。痛い――頭を埋め尽くすその感情を口にすることもできず、潤はきつく目を閉じて歯を食いしばり、激しい揺さぶりに耐える。
「俺じゃ足りないのかっ……」
誠二郎が、息を乱しながら悩ましげな声をあげた。
「足りないか! 俺は!」
同じことをもう一度叫ぶと、潤いの足りない壁の内側を一心不乱にかき乱す。
「あ……うっ、う……」
潤は、突かれるごとに嬌声とはほど遠い呻き声を漏らした。肌に冷や汗が滲むのを感じた。
自分の上で男が腰を振っている。精を吐き出せればほかのことはどうでもよいと言わんばかりに。身体は向き合っていても、互いのことなど見ていない。もはや情の欠落したその行為は、愛し合う夫婦のものではなかった。