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滲む墨痕
第4章 一日千秋
野島屋を守るため、誠二郎は自ら正気を捨てたのかもしれない。狂気を宿すその瞳を目の当たりにしてそれを悟り、潤は静かに嘆いた。そして、次の瞬間に投げられた一言に生気を根こそぎ奪われた。
「すぐ元に戻るよ。子供ができれば」
冷酷にも見える薄い笑みの中でそう言った誠二郎は、スラックスの前を開けて下着をずらし、上向きに勃ち上がる生身のそれにその手を添えた。こちらに向けられるのは夫の眼差しではなく、まるで生殖本能に突き動かされる雄のそれである。
腰を掴んで引き寄せられ、弱々しく拒む脚を簡単にひらかされて、閉ざされた入り口をこじ開けようと剛直をあてがわれたとき、最後の砦は崩壊した。
「いっ……あ、あっ」
硬い異物がねじ込まれ、鋭い痛みが心を引き裂く。加減知らずの侵入者は、無理やり抽送しながらその身を沈めてくる。