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滲む墨痕
第4章 一日千秋
こねくり回されてゆく分身。誠二郎は天井を仰いでまぶたをきつく結び、息も吸えないほどの快感に奥歯を噛みしめた。
美代子の目的がわからない。本心が見えない。その気まぐれにまた裏切られ、この魔性の手中で虚しく果てるのか。何年経っても独りよがりを脱せず、ついにその秘奥に身を沈めることも叶わず、夢想の中に取り残されるのか。
虚無感と裏腹に高まる射精感。思考は支離滅裂になり、しだいになにも考えられなくなる。
「ずっと、俺は……」
熱に浮かされたように呟き、薄くまぶたをひらいた誠二郎はふらりと頭を下げた。
自身の手を汚しながら男性器で遊戯する美しい女。色めいた瞳。濡れた唇。いまだ着崩れしていない上半身が、足袋を履いただけの剥き出しの下半身をかろうじて優美に映している。