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滲む墨痕
第4章 一日千秋
射精衝動が皮肉にも駆け上がってくる。おもわず小さく呻いたそのとき、ハンカチがぺらりと剥がされた。
いきり勃つものを目にして薄い笑みを浮かべた美代子は、唇をすぼめて口をもぞもぞと動かすと、おもむろに下を向いた。上品な仕草で口元に手のひらを近づけたかと思えば、わずかにひらいたその口からはとろりとよだれが垂れ流れた。
言葉を失ってそれを凝視していると、唾液を乗せたその手がふたたび屹立を握ってきた。粘液を塗りつけるようにして、さきほどより力を込めて肉棹を扱く。隔てるものがなくなった分、より強く感じる。
「うあっ、あっ……」
誠二郎がうわずった声をあげれば、美代子はしたり顔でさらに口から唾液を出してみせる。それは水飴のようにどろりと流れ落ち、先端の丸みを潤ませる。濡れ膜に覆われた淫柱は、美代子が手を上下させるたび、にちにちと粘着質な音を発した。