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滲む墨痕
第4章 一日千秋
美代子は自身に向けられた雄の昂りに固唾を飲み、こわごわ身体をひらいて待っている。抵抗する気はないようだが、好奇心と不安が入り混じった表情を浮かべている。
「いいよな、もう、待ちくたびれたよ」
誠二郎は焦燥を口にしながら、湿り気を帯びた剛直を女陰めがけて振り下ろした。ぴち、ぴち、ぴち――濡れそぼった蜜唇に打ちつけるたび、女の腰が呼応するように跳ね上がる。
もともと下がり気味だった眉をさらに八の字に垂らした美代子は、自らの手で裂け目をひらき、湿った吐息まじりに言った。
「いいわ」
「……っ」
全身を興奮が駆け上がった。
ついに、その最奥への侵入を許されたのだ。限界まで追い込まれた欲望は、加虐心を纏った狂気に変わりはじめる。
「あんたはもう、親父や兄貴のものじゃない」
低く静かに落とした声は、その奥底に憎悪を宿している。