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滲む墨痕
第5章 尤雲殢雨
至近から送られる鋭い視線に絆され、戸惑い、潤は思わず彼の胸板に手のひらを押し当てた。硬い筋肉を覆う黒い布生地が泡で湿る。
彼はまったく意に介さない様子で、濡れたタイル床に膝をついた。
「僕が、すべて綺麗にします」
正面から見据えられ、改めて主張された。その激情に呑み込まれる覚悟で、潤は頷く。そして喉に詰まる想いを吐き出した。
「洗ってください……洗って、綺麗にして……」
心臓が早鐘を打つ。自らそう口にしてしまえば、もうそれ以外の選択肢はなくなる。
不意に、太ももを泡のついた手でするりと撫でられた。
「……あっ」
「ここにも、つけられた?」
答えられずに俯くと、合わせた腿の隙間に差し込まれたそれが内ももを柔く掴む。
「ふっ、ん……」
もうタオルは使わないのだろうか。そのわずかな疑問は、内側を揉みほぐすように洗う熱い手のひらによって一瞬でかき消され、潤は小さく艶声を漏らした。
たいへんお待たせしました!
忙しいという言葉をあまり使いたくはないのですが、今週はちょっと忙しかったです。今月末までに終わらせたい原稿がありまして。
またぼちぼち更新していくのでよろしくお願いします。