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滲む墨痕
第5章 尤雲殢雨
瞬間、胸の先端に鋭い刺激が走り、潤は藤田の耳元で高く鳴いた。突起を指先で摘ままれ、こねくり回される。
思わず熱い耳たぶに歯を立てれば、まるで競うように胸をまさぐられ、さらに下の肉芯も押しつぶされた。
「あ、昭俊さぁっ、ん」
首元に顔をすり寄せてもう一度その名を呼ぶ。目の前で、突き出た喉仏が上下し彼が生唾を飲み込むのがわかった。
「……だめだ」
直後に聞こえた極めて小さな囁きが、心に冷たい鋭刃を突き立てた。ちくりとした痛みを覚え、拒まれたのだと知る。
しかし、放たれた言葉とは裏腹に指づかいは激しくなった。熟れた果肉を這う指腹がぬかるんだ肉肌をすばやく往復し、ちゅくちゅくちゅく、といやらしい蜜音が浴室に響く。
「んっ……ああぁっ……」
身体が触れていても、心は突き放されてゆく。失意の中、それでもその指に与えられる喜悦を自ら受け入れた潤は、体内を襲う不随意な収縮、全身に広がる甘い痺れに酔いしれた。