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滲む墨痕
第5章 尤雲殢雨
痙攣から解放された身体は藤田の片腕にしっかりと抱きとめられ、脱力した。
秘部からゆっくりと離された指は、泡と混ざり合い白濁した粘液にまみれている。
藤田はそれを一瞥してからその手で湯桶を掴み、残された泡まじりのぬるま湯を捨て浴槽から新たに熱い湯を汲むと、潤の肩に桶を傾けた。
彼のたくましい腕に身を委ね、肌に張りついたぬめりを落とす熱い液体を黙って受け止める。他方の肩から、背中から、首元から、何度か繰り返し流されるうちに、身体を支える彼の服もすっかり濡れそぼっているのがわかった。
「……もうやめて」
優しくしないで――そう続けようとした。しかし意図せず湧き上がる涙が視界を歪ませ、言葉を失わせる。