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滲む墨痕
第2章 顔筋柳骨
潤は必死にその恥部を手で隠そうとする。
「や……見ないでください」
結婚して二年。三年の交際期間を含めると五年一緒にいることになるが、潤はいまだにそういうところがある。明るい部屋では絶対にしたがらないし、身体の線の細さに対して大きめの尻がコンプレックスなのか後背位は好まない。誠二郎の下半身にまたがって自ら腰を振ることも、口淫もあまり得意ではない。
だからといって誠二郎は、よそで発散させようと思うほどの不満を抱いてはいない。もともと淡泊なのは承知のうえで結婚したのだし、自分以外の男を知らない妻が、自分の下でおとなしく喘いで静かに果てる姿を愛おしく思う。だが時折、無性に虚しい気分になることがある。
依然として意味のない抵抗をするその脚からズボンとショーツを一緒に引き脱がし、膝の裏をすくいあげて開脚させる。美しくひらいた花びらから吐き出された透明な淫液で、真白いシーツは色を濃くしていた。
「すごいな、今日は。どうしたんだよ」
「いや……っ、やめて、やめてっ」