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滲む墨痕
第2章 顔筋柳骨
弱々しい拒絶の声は、ふだんと違う空気を纏う夫婦の営みに彩りを添える。誠二郎は自覚している。今夜は、今までのように優しいだけのセックスをしてやれる自信がないことを。
まるで別の生き物のように唇をひらく淫処を視姦しながら、誠二郎はありもしない想像をする。もしこの中に、自分以外の男の肉棒が突き刺されたら……。
朱色に染まった粘膜の中を、赤黒い男根が空気を含んだ水音を立てながら激しく抽送する――。
「み、見ない、で……」
絶妙なタイミングで発された潤の声と、呼応するように、ひく、と動いた彼女の淫口。
「……っ」
瞬時に頭に血がのぼり、欲望の化身が熱り勃つ。誠二郎は、自身に突き破られようとしている下着とパジャマのズボンを一気に脱ぎ捨てた。
「誠二郎さん……怖い」
天をめがけて硬く成長した支配者を目にした潤は、ふらりと上体を起こし、尻をついたままシーツを力なく蹴って後ずさりする。
その細い腰を掴んで引き戻し、なにかを待ち構えるように潤いを維持する陰裂に、誠二郎は自身を突き立てた。