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滲む墨痕
第2章 顔筋柳骨
藤田という書家の話を振ったときから、なぜか誠二郎の分身は獰猛なほどにそそり立っていた。
その男の自宅で筆遣い以外になにを習ってきたのか。そんな馬鹿げた疑念は、殊勝で従順な妻がほかの男に犯される妄想に変わった。殺意が湧き、同時にひどく劣情を煽られた。
ありえないことはわかっている。潤はそういう女ではない。ありえないことだと知っているからこそ、「もしそうだったら」という仮定の話が有意義なものになるのだ。
潤の言うとおり、ここに帰ってきてから自分は人が変わってしまったのかもしれない。いや、もっと前からとっくにおかしいのだろう。そう思い、誠二郎は彼女の奥を突き上げながら嘲笑を浮かべた。
やがて、吸い取られそうな締めつけを感じた瞬間、彼女が背を仰け反らせて一足先に絶頂に達した。