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官能書道/筆づかい
第2章 優筆
「その前に、約束のものは持ってきましたか。ちゃんと見せてもらいましょうか」

 鹿島は顎髭を撫でながら、にやりと唇を歪める。

 涼子はその場に立ちすくんだ。

 しかし、鹿島から眼をそらさない。
 男の舌先で舐められて、まだ艶めかしく濡れ光るローズピンクの唇を、口惜しげに軽く噛みしめた。

 バッグに手を入れ、中のものを取り出すと、黙ってそばの丸いテーブルに置く。

 この夜のきっかけとなった卑猥なアダルトグッズ。
 男性器を模し、内部のモーターで先端部を動かしたり、振動を与えることの出来る、電動バイブと呼ばれるものだ。

 名のしれた書道家が持ち歩いていいものではない。
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