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官能書道/筆づかい
第3章 穂先
 いやらしく顔を歪める鹿島と、シーツの上の淫具。

 交互に視線を泳がすものの、涼子は一向に動こうとしない。
 膝が胸につくほどに裸身を縮めたまま、乱れた息を繰り返す。

「ほら、はやく。
 僕の命令に背けば、松川涼泉は二度と書壇から相手にされなくなる。
 誰よりもあなたが分かってらっしゃいますよね」

 涙で濡れた瞳が細められ、ローズピンクの唇がわなないた。

 細い顎の線が強張る。
 無念さに奥歯をぎりぎりと噛みしめたのだろう。

 視線に強さが戻った。
 潤んだ双眸を怒りと決意にきりりと吊り上げる。

「好きなだけ、見ればいいわ」
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