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官能書道/筆づかい
第1章 蔵鋒
後ろの戸が開いて、高校生くらいの若者が冷たい茶を運んできた。
「君は涼泉《りょうせん》先生のお弟子さん?」
「はい」
若者はお茶のグラスを応接机に置きながら、小さく頭を下げる。
涼泉というのは涼子の書道家としての号だ。
書家として活躍するかたわら、上級者向けの書道教室を開いていたが、そのほかに書家を目指す若者たちに特別に個人指導もしていると聞いた。
「津路《つじ》澄夫《すみお》くん。将来有望な書家のたまごよ」
涼子の言葉に、若者は頬を染めた。
まるで少女のようにほっそりとした身体と、端正な顔をした若者だった。
少年から青年に変わりかけの、柔らかな顎の線が初々しい。
「涼泉先生は厳しいだろう?」
津路はちらっと涼子を見て、うなずく。
鹿島はその素直さに声を出して笑った。
「涼泉先生についていれば、間違いない」
鹿島は本心から言った。
涼子の指導は父譲りで、厳しいが手厚い。
「君は涼泉《りょうせん》先生のお弟子さん?」
「はい」
若者はお茶のグラスを応接机に置きながら、小さく頭を下げる。
涼泉というのは涼子の書道家としての号だ。
書家として活躍するかたわら、上級者向けの書道教室を開いていたが、そのほかに書家を目指す若者たちに特別に個人指導もしていると聞いた。
「津路《つじ》澄夫《すみお》くん。将来有望な書家のたまごよ」
涼子の言葉に、若者は頬を染めた。
まるで少女のようにほっそりとした身体と、端正な顔をした若者だった。
少年から青年に変わりかけの、柔らかな顎の線が初々しい。
「涼泉先生は厳しいだろう?」
津路はちらっと涼子を見て、うなずく。
鹿島はその素直さに声を出して笑った。
「涼泉先生についていれば、間違いない」
鹿島は本心から言った。
涼子の指導は父譲りで、厳しいが手厚い。