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いつかの春に君と
第4章 君が桜のとき
心を鬼にして、小春の手を冷たく振り払う。
「離せ。そんな訳のわからない妄想じみた気持ちを押し付けられても迷惑だ」
小春の可憐で美しい貌が引き攣る。
鬼塚は背を向け、唇を噛み締めた。
心を押し殺し、冷淡に言い捨てる。
「もういい加減、世間知らずの奥様のお守りから解放してくれ。これでも大分辛抱した方だ」
「…徹さん…?」
震える声を聞きたくなくて、そのまま足早に立ち去る。
「徹さん!待って…待ってください!」
小春の悲痛な叫び声が背中に響く。
…さよなら、小春…。
俺を恨んでくれ。
恨んで…恨んで…俺を永遠に忘れたままでいてくれ…。
鬼塚は一度も振り向くことはなかった。
「離せ。そんな訳のわからない妄想じみた気持ちを押し付けられても迷惑だ」
小春の可憐で美しい貌が引き攣る。
鬼塚は背を向け、唇を噛み締めた。
心を押し殺し、冷淡に言い捨てる。
「もういい加減、世間知らずの奥様のお守りから解放してくれ。これでも大分辛抱した方だ」
「…徹さん…?」
震える声を聞きたくなくて、そのまま足早に立ち去る。
「徹さん!待って…待ってください!」
小春の悲痛な叫び声が背中に響く。
…さよなら、小春…。
俺を恨んでくれ。
恨んで…恨んで…俺を永遠に忘れたままでいてくれ…。
鬼塚は一度も振り向くことはなかった。