この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
いつかの春に君と
第1章 桜のもとにて君と別れ
…凍えそうな冬の夜のことだ。
鬼塚はふと遠くで妹の悲鳴が聞こえたような気がして、跳ね起きた。

…「いつまで兄妹で寝るつもりなの?ベタベタしちゃって気持ち悪い…。貴方たち、もう十二歳と十歳でしょう?別々に寝なさい」
癇性なシスターに叱られ、小春は数日前から女子部屋で就寝していた。
小春は鬼塚と引き離される時に、泣きべそをかいていた。
「泣くな、小春。何かあったら俺を呼べ」
「…うん…にいちゃん…」
必死で笑顔を作る小春を、底意地が悪いシスターが無理やり連れて行った。

…小春に何かあったのだろうか…。
鬼塚はぞわぞわと湧き上がる不吉な予感と不安に苛まれながら、裸足で駆け出した。

小春の悲鳴は宿舎から離れた小さな礼拝堂から聞こえて来る。
…また、意地悪なシスターが小春を折檻しているのかもしれない…。

人目をそば立てるほどに美少女の小春は、やっかみからかよくシスターに叱られては鞭を打たれていた。
その度に鬼塚が小春を庇い鬼塚は通常の倍、鞭打ちを受けるのだ。
「やめて…やめて下さい!にいちゃんを打たないで!」
小春は泣きながら鬼塚に縋り付いた。
「いいんだ、小春。にいちゃんは大丈夫だ。お前が打たれなきゃそれでいいんだ…」
笑ってみせると、小春は尚泣いた。

息を切らせながら礼拝堂に飛び込んだ。
…そして、目の前に広がる信じがたい光景に鬼塚は凍り付いた。

…孤児院の院長でもある中年の神父が、嫌がる小春を組み敷き、乱暴を働いていたのだ。

小春の白い寝巻きは真紅の血に染まっていた。
恐怖と痛みからか、小春は気を失っていた。
その蒼ざめた貌はまるで死人のようであった。

身体中の血液が逆流するほどの怒りと憎しみが鬼塚を襲った。
次の瞬間、鬼塚は獣のような叫び声を上げながら神父に食らいついていった。
「このクソ野郎!小春に何をした!」
全力で神父を突き飛ばし、小春を奪い返す。
…小春はぐったりと意識を失ったままだ。
寝巻きは乱暴に切り裂かれ、下半身は血塗れ状態だ。
…早く…早く手当をしなきゃ…!小春が死んでしまう!

小春を抱き上げ、駆け出そうとした鬼塚を神父が羽交い締めにする。
「行かせるものか。この子は私のものだ」
狂気を孕んだ濁った眼差しが鬼塚を捉え、醜悪な笑いを漏らした。
「馬鹿め、お前に何が出来るというのだ。貧しく身寄りもないちっぽけなお前に…」



/184ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ