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いつかの春に君と
第4章 君が桜のとき
郁未の瞳はきらきらと輝いていた。
「うん。孤児院と学校。
今、街には戦災孤児がたくさん溢れているだろう?
彼らが集団で盗みや犯罪を犯して、社会問題になっている。
けれどそれは、子どもたちが悪いんじゃない。
受け皿の孤児院の環境が劣悪だから、みんな逃げ出してしまうんだ。
環境が良くて温かい指導者がいる孤児院を作れば、孤児たちは安心してそこで暮らせる筈だ。
それから、孤児院だけ作っても駄目だと思うんだ。
そういう子どもたちが自分の才能を活かして勉強したり運動したりして、立派に成長して…ゆくゆくは自立出来るような力を付ける学校…。
日本の未来に役立つような優秀な子どもを育める学校を作らなくちゃ駄目だと思うんだ。
今の学校はGHQの検閲や指導が入って、戦前の日本の教育を全て否定している。
だけれど、良いところもあった筈なんだ。
欧米の教育だけでなく、日本古来の伝統的な教育も合わせた優れた教育ができる特別な学校を、僕は作りたい。
…それには優秀な教師がいる。優れた指導者が必要なんだ。
…鬼塚くん、僕と一緒に学校作りをしてくれないか?」

鬼塚は驚きのあまり、暫く言葉も出なかった。
「俺が…学校作りを…?」
郁未は力強く頷いた。
「僕は、君を見て思ったんだ。
鬼塚くんは孤児院で辛い思いをして…でも学業や運動は誰よりも優秀だった。
きっと血の滲むような努力をしたんだと思う。
だから君は誰よりも強くて大人で…そして優しかった。
…それは、君が誰よりも辛い思いをして、傷ついたひとの気持ちが分かるからなんじゃないか…て」

郁未の温かい手が鬼塚の手を再び強く握りしめる。
もう離さないとでも言うように、その手はがっちりと鬼塚の手を捉えていた。
「そんな君ならきっと良い教師になれる。素晴らしい指導者になれる。
孤児たちが安心して、そして未来に希望が持てるような学校を作ることがきっと出来る。
僕と一緒に、仕事をしてくれないか⁈」
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