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いつかの春に君と
第4章 君が桜のとき
郁未は鬼塚と小春も交えて和やかに談笑したのち、見舞いの花と果物の籠を置くと、和かに席を立った。
「じゃあ、あんまり長居して鬼塚くんが疲れるといけないから…。
ゆっくり養生して。
…それから…元気になったらあの話、前向きに考えて欲しいんだ。
僕にはやっぱり君が必要なんだよ。君と一緒に仕事がしたいんだ」
その瞳には強い意志が漲っていた。

「…郁未…。少し考えさせてくれ…」
郁未はほっとしたように笑った。
「ゆっくり考えて。身体が治ってからでいいから」

そう言うと、小春に挨拶をして病室を後にした。

小春は丁寧に郁未を見送ると、鬼塚の肩に羽織を掛けながら尋ねた。
「…にいちゃん、仕事って?」

鬼塚は一瞬躊躇したのち、口を開いた。
「郁未に一緒に孤児院と学校作りをする仕事をしないかと誘われている。
…郁未は嵯峨公爵の三男坊なんだが、譲られた資産で戦争孤児を守り、立派な大人に育成する仕事をしたいと意欲を燃やしているんだ。
孤児たちの自立支援するための行き届いた孤児院と学校を建てたいと…。
それに俺も一緒に協力してくれないかと…」
小春は睫毛を瞬かせ、感激したように声を上げた。
「まあ!それはにいちゃんに相応しい素晴らしいお仕事だわ!にいちゃんは孤児院で辛い思いをしているから、子どもたちの気持ちがよくわかるはずよ。
きっと素晴らしい先生になれるわ…!」

小春の言葉が鬼塚の胸に針のように突き刺さる。
堪らずに、鬼塚は首を振った。
「…やめてくれ…。
俺は…そんな仕事をするのに相応しい人間じゃない。
お前は本当の俺の姿を知らない。
…知ったら…俺を嫌悪するかもしれない…。いや、するだろう…」

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