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いつかの春に君と
第5章 いつかの春に君と
今城は少しも堪えた様子もなく、可笑しそうに笑った。
「相変わらず、威勢がいいな。地獄の硫黄島からも生還を果たし、見事に復活か…。
さすがは、筋金入りのドーベルマンだ!」
はらわたが煮え繰り返るような怒りが鬼塚を襲う。
今城の襟首を掴み、睨みつける。
「なぜ裏切った⁈なぜ嘘を吐いた⁈
なぜのうのうと帰って来た⁈
俺は…俺はあんたが…!あんたが…‼︎」
…いつも朗らかで優しくて…言葉少なで人見知りが強い鬼塚にさり気なく気配りをしてくれる上司だった。
…なにより…。
男が亡くなり、自暴自棄になった鬼塚を全力で止めてくれた。
…「どんなことがあっても生き延びろ、大佐の遺言だ…」
彼の言葉がどれだけ歯止めになったのか…。
胸倉を掴み、拳で殴る鬼塚に抗いもせず今城は静かに告げた。
「子どもたちが見ている。…どこか、二人きりで話そう…」
「相変わらず、威勢がいいな。地獄の硫黄島からも生還を果たし、見事に復活か…。
さすがは、筋金入りのドーベルマンだ!」
はらわたが煮え繰り返るような怒りが鬼塚を襲う。
今城の襟首を掴み、睨みつける。
「なぜ裏切った⁈なぜ嘘を吐いた⁈
なぜのうのうと帰って来た⁈
俺は…俺はあんたが…!あんたが…‼︎」
…いつも朗らかで優しくて…言葉少なで人見知りが強い鬼塚にさり気なく気配りをしてくれる上司だった。
…なにより…。
男が亡くなり、自暴自棄になった鬼塚を全力で止めてくれた。
…「どんなことがあっても生き延びろ、大佐の遺言だ…」
彼の言葉がどれだけ歯止めになったのか…。
胸倉を掴み、拳で殴る鬼塚に抗いもせず今城は静かに告げた。
「子どもたちが見ている。…どこか、二人きりで話そう…」