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いつかの春に君と
第1章 桜のもとにて君と別れ
翌日から鬼塚は男にありとあらゆる武道を叩き込まれた。
朝は日の出と共に起き鍛錬をし、自宅の裏にある道場で剣道、柔道、空手、薙刀…そして射撃などの基礎を習った。

隻眼の鬼塚は、遠近感が上手く掴めずに難儀した。
倒され、転ぶ鬼塚に、男は眉ひとつ動かさなかった。
子どもだからと手加減も一切しなかった。
「冷静に距離を図れ。見える目に全神経を研ぎ澄ますのだ。
古くはネルソン提督、ドイツのシュタウフェンベルグ伯爵や乃木希典将軍も隻眼だが、立派な武道家で軍人だ。
お前に出来ないはずはない」

そう言われると、どんなに打たれていても鬼塚は立ち上がった。
ふらふらになりながらも立ち上がる鬼塚に男は容赦なく稽古を続けた。

男は著名な軍医に鬼塚の眼を診せた。
…結果は同じであった。
やはり二度と光は取り戻せないという診断であった。

翌日、男は鬼塚に黒革で出来た特注品のアイパッチを渡した。
そして自ら嵌めてやりながら、告げた。
「この隻眼はお前の勲章だ。惨めに思うな。誇るのだ」
鬼塚は息を呑んだ。
自分の隻眼をこのように褒めて貰えたのは初めてだったからだ。

男の瞳に一瞬慈愛の色が浮かんだが、直ぐにそれを隠すかのように貌を背けると、鬼塚に冷淡に告げた。
「何をぼんやりしている。稽古を始めるぞ」

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