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いつかの春に君と
第1章 桜のもとにて君と別れ
その日以来、男は目に見えて鬼塚に執着するようになった。
自分が在宅出来る日は、昼となく夜となく鬼塚を抱いた。
…書斎で、居間で、浴室で…。
狂おしいほどに鬼塚を求めた。

「…あ…ああ…ん…っ…は…ああ…っ」
鬼塚の性感が高まる頃、男は必ず鬼塚の黒いアイパッチを外す。
まだ未熟な少年の身体に有り余るほどの快楽を与えながら、男は囁く。
「…徹…お前は…綺麗だ…」
…綺麗な筈はないと、鬼塚はいつも思う。
片目は潰れているし、貌立ちだって可愛げのないものだ。
…何?その生意気な貌は。
本当に愛想のない可愛くない子!

孤児院に居る時に、いつもシスターに罵られた。
だから自分は醜いのだろうと思っていた。

しかし、男は鬼塚を称賛した。
「お前は綺麗だ。この隻眼はお前の勇気の証しだ。
…眼も鼻も唇も…」
…全てが綺麗だ…

そう言って、激しく唇を求め、猛り狂った牡で鬼塚を翻弄した。
普段は無口なのに、閨の男は饒舌だった。

事後、鬼塚の髪を梳き上げながら、不機嫌そうに呟いた。
「…士官学校では気をつけろ。お前は綺麗だから、狙われやすい」
鬼塚は吹き出した。
「そんなことを言うのは大佐だけですよ。俺なんか…」
その言葉の語尾を吐息ごと引き取る。
甘くて濃密なくちづけを与え、囁く。
「…お前は綺麗だ。…誰よりも…」
そして…
「…お前を士官学校に行かせることを、後悔しているよ…」
苦しげに告げた。
「…大佐…」
…こんな風に言われると、勘違いしてしまいそうになる。
男が自分を愛しているのではないか…と。

鬼塚は頭を振った。
…そんな筈ないのに…。

…かずは…。愛している…。
男の言葉が蘇る。

大佐が愛しているのは、あの写真のひとだけだ。

…分かっているのに…
そんな風に愛おしげに見つめられると、勘違いしてしまいそうになるのだ。

鬼塚はもう男に何も言わさぬように自分から唇を塞いだ。
「…もっとして下さい。…学校に入ったら、もう出来ないから…」
「徹…!」
幼げな媚びに、男は怒ったように鬼塚を引き寄せる。
百戦錬磨の修羅場を乗り超えてきた逞しい男の性欲は果てしなかった。

「…あ…ああ…いい…っ…!」
鬼塚は男の頑強な腰に脚を絡める。
悦楽に溺れていれば、余計なことを考えないで済む。
…男が自分を愛していないことも…。

…自分が男を愛しかけているかもしれないことも…。

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