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two roses & a lily
第7章 カウンセリング
「医者になるのに死を避けて通るなんて出来ませんよね。」
「そうですね、ですから、あなたに先に診断結果を報告しました。あなたが知る彼の本当の症状はあなたの内に留めていただいて、彼には恐怖症という診断結果を伝え、医者になるのを断念させる。
これが彼にとって一番幸せな対処方法だと思うんですが。」
「···ジョンにとって、医者になることが生き甲斐、生きる目的なんです。それを彼から奪って彼に生きる道はありません。
彼に事実を伝えて彼に選択させてください。」
「そもそも、未成年二人で受診することをお断りしましたよね。治療となれば尚更、彼のこの先の人生を責任もてる保護者がついていないと不可能です。」
「彼には保護者がいません。居たとしてネグレクトなんです。
僕が彼の人生の責任を持ちます。ある意味大人より長生きして責任とれる筈です。」
「そこまで言うなら、あなたの両親にも保証人になってもらえますか?」
「···頼んで見ます。」
「通常治療に入る際の誓約書をお見せします。あなたとご両親にサインしていただきます。
ご覧いただいて、サイン出来るなら治療に移行します。但し誓約書にもある通り、今より良くなるという保証はありません。
彼にはまだ診察結果が出ないと話しましょう。
来週誓約書が提出できるなら彼にも本当の診断結果を報告し、出来ないなら先程の診断結果を伝えます。
私も医者です。不可能と諦めたくはありません。出来る限りのことを尽くしますが、先程の事情から保証は出来ません。」
親にサインをもらえれば、ジョンが治療を受けられる。
この時、僕は正義感だけにとらわれて安易に考えていたのかもしれない。