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two roses & a lily
第7章 カウンセリング
「そうだな、薬を使わなくても高校生の記憶は語れると思うが、リラックスして欲しいからね。私の質問に答える。まずはそれだけだよ。」
カールは室内にジョンしかいないかのように話す、僕は少し離れたところで椅子に座り黙って様子を見ているように言われている。
まずは、表面的な質問にジョンが答えていくことで、ジョンの生活が赤裸々にされた。
中学生までしか居られない施設にいて、奨学金で高校に行ったこと、それまでは施設から外に出ることはなかったこと、初日に以前住んでいたアパートに行き、かつての妹のシッターに会い、母親が失踪前から育児放棄だと地域で言われていたことが話された。
母親の勤めていたバーに行き、アルバイトを始め、バーは売春の出会い場になっていて、すぐに客をとることで稼ぎ始め、施設を出て独り暮らしをしたこと。
客は女だけでなく男も相手していたことや、客から母親も同じようにして生計をたてていたことや、自分たちはそんな客の誰かとの子供らしいという話を聞かされたこと。
ジョンは淡々と物語のように話す。カールや僕がいることを気にしていないようで、いい辛そうに詰まることもなく、面接試験の模範解答のように答えた。
逆にカールの方がジョンの話に驚き、ため息をついたり目頭を押さえていた。
「一気に3年間遡ったけど、学校の話が少ないね。学校での思い出はあるかな?」
「学校は勉強するところ、大学に行って医者になるために行く。」
「施設から出て初めて学校に通ったんだから、何か記憶はないかな?友達とかガールフレンドとか、行事だってあっただろう?」
「施設出身ということを何故か皆知っていた。男は俺に近づいて来なかった。
しばらくしてスティディな彼氏がいない女が寄ってきた。彼氏と別れた女も、、
だけど、sexするとしばらくして皆離れていった。 」
ジョンはまた淡々と答えた。
「じゃあ、ここからは、記憶や事実と言うより感情について質問するよ。
初めて施設を出た時、君はどう思った?」
「自由になって嬉しかった。
本当は妹と一緒に暮らしたかったのに、残念だった。
母親がもしかしたら、あの町に戻ってきているんじゃないかと考えもした。
でもアンから母親はそんな女じゃないと聞かされて寂しかった。
早く金を稼いで本当に施設を出て医者になりたいと思った。」