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two roses & a lily
第3章 クリスマス
「ジョアンナ?お兄ちゃんは王子さまにはなれないよ。結婚できないんだから…
早く良くなって、また本を読んであげるよ。」
「ありがとう…お兄ちゃん…」
ジョアンナは涙を拭って、ニッコリととびきりの笑顔になって瞼を閉じた。
「ジョアンナ?ありがとうってなんだよ。まだ願い事叶えてないだろ?」
瞼を閉じたタイミングが不自然で声をかけたが、ジョアンナが起きることはなかった。
「ジョアンナ?ジョアンナ?」
ジョアンナの体を揺さぶる俺を、後ろからシスターが抱き締める。
「ジョン…やめて…今、お医者さんを呼ぶから…」
「なんで?なんで目を覚ましたのに、今、呼ぶんだよ。ジョアンナ?ジョアンナ?お兄ちゃんはここにいるよ?」
「誰か…誰か…手伝って…」
そこからの記憶は曖昧で…気づけば、ジョアンナの弔いのミサに参列していた。
ジョアンナの写真なんていつ撮られていたんだろう。
皆が白い薔薇を持って棺に歩いていく。
「ジョン…あなたが最後よ。」
シスターに背中を押されて棺に向かう。
「ジョアンナ?点滴外れたのに何で寝てるんだよ。お兄ちゃんが本を読んであげるよ。」