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two roses & a lily
第1章 プロローグ
「ただいま。」
「ジョン、マムから何か聞いてる?」
学校から帰ると母は居らず、もう帰っているはずのアンがものすごい形相で話しかけてくる。
「特には何も…いつものケーキの日じゃない?」
マムのケーキは俺らの分に合わせてアンの分もある。
朝の引き継ぎが出来なかったお詫びに、アンのケーキも買ってきてアンも一緒にお茶をする。
だから、月に何回か、こうしてアンがいることがあるんだ。
「今日は給料日よ。ケーキの日なら、もうとっくに買ってきてるでしょう。」
アンの言う通りだ。給料日ってのが何だかよくわからないが、ケーキの日はお茶をアンのいる時間に始めるから、俺が帰ってくる頃には、ケーキを並べて待っているくらいだ。
「ジョン、何も聞いてないの?」
「うん。」
「やられたわ、逃げられたんだ。カレーも大量にあるし…」
アンはそう言った後、母を汚い言葉で罵って、『明日も一応来てみるわ。』
と言って帰っていった。
母が、1日帰ってこない日なんてあっただろうか、アンが言うような特別な事ってあっただろうか…