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two roses & a lily
第6章 出会い
映像には交通事故で出血し倒れている人、心筋梗塞であろうか、胸を押さえて踞る老人、作り物でない緊迫感、目を背けたくなるような傷口などが写し出され、ほとんどのものが目を背け、ショックを受けて呟いたが、ジョンは平然と映像を見ている。
『マシーン(機械人間)』
皆がつけたあだ名を思い出した。
この男には感情がないのか、かなり残酷な映像が流れる中、動じず画面を見続けるジョンを見て思っていた。
すると、画面に黒人の少女が映る。
痩せていかにも病弱な少女だった。
すると、ジョンの目が大きく開かれ、聞き取れなかったが、何か呟いた。
その少女は喘息症状を起こし、呼吸がままならなくなる。
ジョンが呟き続けた。
「……ンナ、………アンナ、ジョアンナ…」
ぶるぶると震えだし、机の上で拳を握りしめる。
ジョン自身がショック症状を起こしそうで、手を伸ばしそっと肩に触れた。
ジョンは凄く驚いた表情で僕を見たが、現実に引き戻されたように、少し落ち着いてきた。
その後映像は終わり、講師から、心肺停止状態の人への対処方法を説明し、椅子を下げて人形が沢山床に置かれた。