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two roses & a lily
第6章 出会い
声かけと同時に人形が警告音を発する。
講師が慌てて駆けつけた。
「ジョン、あなたのせいで、肋骨が折れて肺に刺さってしまったわ。力任せにすればいいってもんじゃないの。」
「ジョアンナ…ジョアンナ…息をするんだ。」
やっぱり、妹なのか…もしかしたら、実際に死に立ち会っているのではないか。
講師の忠告も耳に入らず、警告音を発する人形をどんどん押し潰す勢いでマッサージしている。
「やめるんだジョン。君が患者を痛めつけている。」
肩に触れて話しかけると、ビクリとしてジョンが止まる。その目から涙が溢れていた。
「ボブ、いいわ。そのまま呼吸法の救命に入って、ジョンはボブの様子を見ながら続けて…」
ジョンが無言のまま頷いたのを見て、人形の頭部に跪き、気道を確保してマウストゥマウスに入った。
次は役割を交代したが、やはりジョンは不安定で、今度は肺が破裂してしまう。
子供と大人では肺活量が違うから注意が必要という説明も聞いてメモを取っていたはずなのに…
「ジョンとボブ、人形を貸すから1週間練習してきなさい。
テストでもないのに、こんなに出来ないなんて…初めて…」