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two roses & a lily
第6章 出会い
まったくだ。一般人でも受けてカードをもらえる講習だ。
人形を脇に抱えて席に戻るジョンを皆が笑う。
大男がままごとするのか?
ベッドで添い寝するんじゃないのか?
とからかわれても、ジョンは項垂れて黙ったままだった。
「ジョン、君が寮に持っていってくれるか?
放課後、寮に行って練習してもいいか?」
「ああ、すまない。そうしてくれ。」
練習はともかく、ジョンの様子がおかしかった。原因を突き止めて解決しないと、彼は医者になれない。
周囲の目に晒されずに落ち着いて話す必要があると感じた僕は、ジョンの部屋に行く約束をした。
「ボブ、じゃあ、そのマシーンの部屋に今から行くわけ?」
「メアリー、悪いけど先に帰っていてくれ。」
「夕飯はどうする?」
「食べるよ、帰る時にまた連絡する。」
「わかった。その人、良くなるといいわね。」
「ジョンだ。」
「ああ、ごめんなさい。早くジョンの所に行ってあげて…」
テラスで待っていたメアリーに事情を話し、僕は学寮に向かった。
まさか、ジョンとの深い繋がりが、人生を左右する出逢いになるとも思わずに。