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two roses & a lily
第6章 出会い
コンコン…
「ジョン、いいか?」
「ああ、ボブか入ってくれ。」
ドアを開けるとジョンが机の上の写真立てを伏せる。
それに気づかぬフリをして進められた椅子に座る。
ベッドと勉強机とクローゼットだけ、無料で入れる学寮だからこの広さでも仕方ないだろう。
席を譲ってくれてベッドに移ったジョンの後ろには、講習で渡された人形が横たわっている。
ベッドで添い寝するとからかわれていたが、実際問題、床に粗末に置けるわけがなく、そうするしかないのだろう。
「ジョン、早速だが練習しよう。
そしてそれは人形だ。ジョアンナじゃない。
上手くマッサージと呼吸法が出来れば、オッケーと鳴る人形だ。
僕が見ているから、まずは一人でやってみてよ。」
「人形…」
「そうだ、それは人形だ。
先生が言ったことなど忘れて、人形にマッサージを施せばいい。」
「わかった。」
人形のスイッチを入れると、ジョンが立ち上がり深呼吸をする。
僕は人形の上半身が見えるようにベッドの縁に座った。
ジョンは人形の向こう側に行き、人形の肋骨の位置を確認して、手を組んで鳩尾に置く。
もう一度深呼吸してマッサージを始める。