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two roses & a lily
第6章 出会い
備え付けのミニキッチンで湯を沸かし珈琲を淹れてくれる間、落ち着きなく室内を見回したが、個性や特徴のない室内に話題のきっかけも掴めなかった。
また勉強机の椅子を勧められ、ジョンがベッドに座る。
ギシリと軋む音にも何だか気が落ち着かない。
「ジョアンナは妹なんだ。8年前に病死した…
まだ5歳になる前だった。
たぶん喘息持ちだったんだろう。クリスマスに雪遊びをしたせいか、高熱を出して、1週間もせずに亡くなってしまった。
俺が医者になろうと思ったのは妹がきっかけなんだ。
妹のような子供を出したくない。医者に見て貰えず苦しむ子供がいないように、医者になりたいんだ。」
「素晴らしい志だね。僕なんか親に言われたから医学部に入った…それだけさ。」
「そんなことはない。映像を見て、家族を思うように言われて、ジョアンナのことが頭から離れなくなった。でもボブが人形だと思えと言ってくれたおかげで冷静になれた。」
「そうだね、でもジョン。医者はいつも冷静でいられなきゃならない。だから、これからも患者は人形と思った方がいい。
冷たいようだが僕達が冷静でなきゃならないんだ。」