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two roses & a lily
第6章 出会い
僕は意識してジョンの隣に座るようにした。
だが、ジョンの反応は違う。毎回、ああ、そうだったと思い出しているようで、休憩のあとの席取りで僕を意識することはない。
今日は放課後、直接ジョンの部屋に向かうことになっていた。
メアリーもまっすぐ帰って夕飯の支度をするからだ。
だが、ふと思い付いた事があり、先にジョンには帰ってもらい、すぐに追いかけると伝えた。
「ボブ、熱心なのはいいけど、何で2体必要なの?」
「とにかく必要なんです。」
僕は押し切ってそれを借り小脇に抱えてジョンの部屋に向かった。
「どうぞ。」
ジョンは僕が抱えているものを見て、一気に元気がなくなった。
「これを、人形と思えってことか?」
搾り出すような声は既に震えている。
「いや…ジョアンナだと思って処置するんだ。」
僕が講師から借りてきたのは、黒人の少女のような人形だった。
「君は昨日人形だと思えと言ったじゃないか。」
「それは救命すら出来ない君だったからだ。
だけど、僕達は生きた人間を相手するんだ。君が何科に進むつもりか知らないが、人は痛いとか苦しいとか訴える。それでも冷静に判断しなきゃならないんだよ。」