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朧_ 霞む 愛しい影
第1章 この世では 叶わぬとしても。
*佑


似たり寄ったりの 此の一角の家屋敷は いずれも
壁は薄く 敷地も狭い




雷でも鳴っているなら
或いは 土砂降りの雨が降る夜ならば

耐えきれず嬌声をあげても
おそらく誰の耳にも届かない



しかし、ひとりまぶたを閉じれば
耳鳴りのする様な気がしたほど
静かな夜。。




偶然にも 表を通る人が
居ないとは限らず

寝つけぬからと 庭へ出る人も
有るかも知れない



貫かれ ひらかれてゆく熱さに
高い声を上げそうになり

嬌声よりも先に 喉をつきかけた悲鳴を
圧し殺すため


わたしは 手を伸ばし、
兄様の帯を摑んで 唇の合間に食い縛った





契りと呼んで良いのか、過ちなのか
何にせよ誰にも聴かれる訳にはいかない
































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