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地獄
第4章 撮影
 椅子は大きく造り込まれ。かなり横幅がある人間でも余裕で座れ肘掛けに寄りかかれた。木製で年季があるのだが今でも一線級で使えるだろう。
 そしてなによりも頑丈な造りで背もたれも動かすことができる融通もあった。
 


「……よし!」


 坂本が納得する。するとベッドに置かれ、縛られ自由のない女、奈緒子に目がいく。
 奈緒子は身を硬直させ屈み込んでいた。猿轡は相変わらず、良い仕事をしている。口元に食い込むロープ、口内にある詰め物がこれでもかと女を恥辱していた。
 
 

 なんで? なんで? 


 奈緒子が、こうなった理由を探す。しかし見つからない。いや見つけられない。
 見つけられない中でただ一つ、夫から言われたことを思い出す。


「外ではできる限り、身を隠す服を着て欲しい。奈緒子、キミは肌を晒す服は絶対着ない! わかった?」


 優しくも厳しい口調だった。
 奈緒子はその言葉に従い、できるだけ肌を露出さそないように心がけていた。夏の暑い日であっても、身体の線をハッキリさせないことをした。
 

 これに関係あるの?


 坂本が動く。
 奈緒子の首輪の鎖に手をかける。そして椅子のある場所に先に行く。そして首輪の鎖を強く引っ張った。


「ううっ!」


 奈緒子の身体が、引き摺られる。首を絞められる苦しさを感じ身の危険を察知しゆっくりゆっくりと動かされていく。


 ジャラリ、ジャラリ!


 首輪の鎖が音を奏で、絶望への道案内をした。奈緒子が動くたびに揺れる胸が重圧感を魅せてくれる。


 揺れすぎだ!


 坂本が鎖を引っ張りながら、胸に視線を向ける。
 呆れるぐらいに胸をアピールしていた。
 

 奈緒子が引っ張られ、椅子の前に来ると坂本がお嬢様抱っこをする。ずしりとくる重さを物ともせず、涼しい顔を恐らくしているはず……。
 マスクの下にある表情がわからないが、何故か想像がついた。


 坂本が奈緒子を椅子に座らせると、背もたれもを半分まで倒す。脚を力づくで広げると肘掛けに固定させ、近くに置いてあるロープでまずは右脚の膝あたりを縛る。
 かなりきつく縛り肘掛けから外れないようにした。次は左脚である。足首にある拘束具、そこから伸びる鎖を今回はそれを掻い潜るようにして左膝辺りを縛り付ける。





 
 





 
 
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